重くしんどく考えさせられながらも、美しさと揺るがない愛が目に見えるような作品だった。
病に倒れ、その後遺症が残り、半身麻痺になってしまった妻と、その妻を介護する夫。とても現実味があって、丁度いいテンポと余白が、視聴者それぞれが自由に解釈出来るようになっていて、その余白を存分に堪能出来た気がする。
やっぱり介護は大変で、目の当たりにするとやはりしんどくて、心が潰れそうな感覚も覚えたけれど、半身麻痺になっても家に帰りたい、夫の側にいたいと思う事はワガママなのだろうか?年老いて、そんな妻の願いを受け止めようとする事は無謀なのだろうか?
どちらもとても頑張った(;;)
頑張りすぎたくらい頑張った(;;)
こうなる以前から、夫婦で色んな事を乗り越え、笑い、涙しながら生きて来たんだろう。そんな考えが広がるくらい二人が繊細に描かれているし、今までの二人の生活を想像し、想っただけで涙が止まらないし、そんな深い深い絆と、長い長い時間培ってきた二人の愛がずっしりと心にのしかかります。
ラストの決断は愛なのかエゴなのか。
正直、私はどちらでもいいかな。
思い合えば、愛もエゴも紙一重だと思うから。
エゴだったとしても、それすらもきっと受け入れて、包み込んでくれるよきっと。
老老介護の目線でも、色々考えてしまう事は多かったけど、ミヒャエル・ハネケ監督が社会問題ではなく、愛を描きたかったのはとても伝わりました。
これを観たら、先日観た『ファニーゲーム』のつまらなさ何だったの?同一人物なの?ってなりますね。笑
2021-405