踊る猫

踊る猫の感想・レビュー

2017/03/15
愛、アムール(2012年製作の映画)
4.3
老いて行く妻とその看病をする夫。スジを要約してしまえばそれだけの話……なのにここまで人を惹きつけるのは何故なのだろう。むろん俳優陣の演技の賜物でもあるだろうが、それと同じくらいこの映画が「計算」され尽くした作品であるからに他ならない。開け放たれた窓、あるいは外から入って来るニュースは閉ざされた登場人物たちの心が辛うじてその接点に依って繋がっているという、斎藤環氏風に言えば「引きこもり系」の人々の(ハネケの映画では登場人物たちは皆「孤独」だ)心理をそのまま象徴しているかのようでもある。タイトルは「愛」だが、彼らの間に「愛」はあったのだろうか? 例えばそれは食事の場面が象徴しているように一方的なものではなかったのか? そのエゴこそがしかし、「愛」なのではないか? 色々なことを考えさせられる。ラスト・シーンの余韻もあってこの点数にさせられてしまった。いや、興味深い作品だ。