深い夫婦愛を抱き続けた老夫婦に起こった悲劇。
新作コーナーに有った作品を何気なく選択してみました。余り映画に関する知識が広くないので作品紹介を見てビッグ・ネームの監督、主演者だったのに驚きました。
誰でもが訪れる老い。愛するが故、夫婦二人で介護生活を送ることを選択し、離れて暮らす親族の援助や入院介護を拒否し続ける老夫婦の愛情深い生活を静かに綴っていく作品です。
ピアノ教師の職業を持ち、余裕のある生活を送っていた老夫婦に突然、妻の体に異変が起き次第に妻の病の症状が重くなり、夫が介護生活に入る。今の社会ではどこの国でも核家族化が進みこんな夫婦がますます増加する事でしょう。
この主人公夫妻はまだ経済的に恵まれた生活をしているので恵まれているのではないか？。そんな気がします。経済力のない独居老人が寝たきりの生活に陥ったら孤独死と云う結果になってしまうケースが新聞等を賑わす結果になるのでしょう。
愛するが故、妻の望み通りの介護を必死に続ける夫。彼自身も老いからして負担がかなりの物になってくる。そして最後に夫が選択した決断は？
私たちも少なからず将来身の上に降りかかる問題として重く受け止めています。この作品の舞台の年代になるまでの準備段階には幾つかの分岐点が訪れるのではないでしょうか。
経済力の問題、二人の愛情・信頼・思いやり、家族の協力関係、介護方法の選択などがキー・ポイントとして思い浮かびます。
妻の表情の変化などで細かい描写がドキュメンタリー作品の様に老夫婦の切なさを細やかに描いた良い作品でした。
