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愛、アムールのmidorixgreenのネタバレレビュー・内容・結末

愛、アムール(2012年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

老後を満喫する2人の老夫婦。その日常が妻の病気の発症によって暗転する。妻と交わした「入院させない。」という約束を守るため、自宅で介護を続ける夫。必死の夫を横目に、坂道を転がるように一気に衰え、死に向かう妻。ついに夫は枕で妻を窒息させることとなる。妻の死を封印するかのように妻の横たわる寝室をテープで封鎖した後、妻への手紙を一心不乱に書き続ける。朝目が覚めると、キッチンで音がする。キッチンに向かうと、そこにはかつて在りし日の妻がいた。食器を洗いながら、当然のように話しかけてくる妻。夫は戸惑いながらも妻とともに外出する。
映画構成も良く、序盤のコンサートへの外出がラストシーンで思い起こされるし、死にゆく妻の経過が効果的に演出されている。生活音によってシーンを巧みに運んでいる。エンディングも無音で、これによって作品の余韻を増幅させている。
« La vie, longue vie. »« C’était bien. »という印象的なセリフを始めとして、本作は長く連れ添った妻に対する夫の、静謐で深くて重い愛を描いている。
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