りほこ

愛、アムールのりほこのレビュー・感想・評価

愛、アムール(2012年製作の映画)
4.5
"如何なる時でも愛してる"は
無条件の愛なのか。

素敵なおしどり夫婦が
介護という現実にどんどん時間は蝕まれていく。
2人の愛はきっと変わっていない。
うわごとを言うアンナの手を握って思いが通じると信じているけど、
結果通じない。途方にくれそう。
彼女を愛し続けると守り続けると約束した彼にとっては苦痛ではないにしても
耐え難いもの。以前までコンサートに行ったり、音楽家に投資したり積極的に外に出ようとしていた二人。彼にとってアンナは賢く洗練された存在であったはずなのに。

ご飯を窓際で2人は斜めに座って食べる。小さい声でも話しやすいように。お互いを見やすいように。窓の外の景色を見るために。
でも彼は彼女の姿を前を知る人に見せたくなくて、社会からどんどん隔離していく。
鳩が窓から突然入る。鳩は"外部"の象徴で、彼は鳩を追い出す。2回目、彼は鳩を捕まえる。そして彼女の幻覚と共に外の世界へ戻っていく。
"信じられないだろうが"

老人同士の介護を不可能だとは思わないが、愛や同情だけで成り立つものではないしお互いの協力がないと一方的にやり続けるのは不可能。だから娘たちには中途半端な同情で介入して欲しくなかったはず、。

愛する人に絶望を与えたくない。誰もがそう願っているはず。何が正解なんて全くわからない、ただどんな姿になっても最期には花を手向けてほしい手向けたい。解放されて欲しい。
りほこ

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