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劇場版しまじろうのわお! しまじろうとフフのだいぼうけん すくえ!七色の花のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

3.5
【しまじろう映画研究4:色彩を持たないハナつくると、彼の巡礼の年】
日本アニメ界はよくガラパゴスだと言われているが、その最たるものは子ども向け映画のバリエーションであろう。アンパンマンに始まり、ドラえもんにクレヨンしんちゃん、コナンと各年代に即し、ある種のプログラムピクチャーとして毎年量産され日本映画界のドル箱コンテンツとしての地位を博してている。他国の映画興行収入ランキングでは、常にネズミ帝国傘下の作品が上位を占めている中、これらのドル箱作品はなかなか王座を明け渡さない。ネズミ帝国からしたら奇妙な現象が日本で観測されるのである。てっきり、しまじろうはその常連かと思いきや、以外にも映画を作り始めたのは2013年の『しまじろうとフフのだいぼうけん すくえ!七色の花』からで驚かされる。

しまじろう映画シリーズでは毎回、組み立て式メガホンが入り口で配布されるのですが、本作ではウチワとなっており、クライマックス、病に倒れた花を救助するのに使用されます。本作では、父しまたろうからアウトソーシングされた花の水やりをサボってしまい、瀕死に追い込んでしまったしまじろうが、その罪意識を抱えたまま、町を覆い尽くす謎の花の病を救う旅に出る話だ。冒頭の花畑から色彩を奪う描写のキメ細かさに技術的観点から感銘を受ける私であったが、本作の面白さは、荒野を実写のしまじろうたちが歩くだけで物語が進行していく斬新さだ。かつて小津安二郎が『長屋紳士録』で、荒野を歩くおばあちゃんと子どもと言う構図で滑稽なお話を紡ぎ出したが、それに近いものを感じます。荒野を走ったり歩いたりするしまじろうたちからマイナスイオンが滲み出て、観ている我々大人も癒されます。

そして一作目故、ユニークさこそ抑えられているが、生き物の尊さを伝えるのに十分な作品でありました。
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