鰯

パラノーマン ブライス・ホローの謎の鰯のレビュー・感想・評価

4.1
スタジオライカはやっぱり天才

ノーマンには死者と話せる特別な力があるものの、周囲は取り合ってくれない。そんなある日、町で出会った大叔父に特別な使命があると告げられる。

ライカのモーションアニメは3本目。KUBOやコラライン同様、異世界との交流が描かれます。だけど、キャラの立ち方とストーリーは今まで一番好きかも。あとホラー好きにはたまらないと思う(ノーマンの着メロとそこからのホッケーマスク)。ぬいぐるみから虫が出てくるシーンは「ミストかよ」って思いました

やっぱりすごいのはパペットと撮影技術ですよね。何万もの顔を作って撮影したという表情は本当に豊か。最新作のKUBOに劣らない紙の表現もすごかった。スナック菓子やぬいぐるみ、床の木目に壁一面のポスターなど、小道具の作り込みも並大抵のレベルではない。この辺りはメイキングを見ているだけでも楽しいです。気が遠くなる作業だろうなあ

お話もベタなのに退屈しない。ノーマンの欠点に対する、周囲の反応から各人の性格やキャラクターが伝わり、コミカルに話が進んでいくのでずっと楽しい。ポスターにもある5人はキャラが立っててたまりません。特にニール。大好き。エアロビのDVDを静止しているシーンは爆笑した。ああいう太っちょの助太刀って映画のお決まりだと思うけど、全然いやな感じはしないなあ。いじめっ子のアルヴィンもブレイクダンスの見せ場があるし、ただのやなやつには描いてない。臆病だから攻撃的になってしまうという弱さが見えたのはよかったなあ

「特別である」「尖っている」人を如何に受け入れられるか、違うからと恐れてしまうのか、と楽しいストーリーに深い問いが埋め込まれていてなかなか考えさせられる。
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