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パラノーマン ブライス・ホローの謎のJIZEのレビュー・感想・評価

3.1
賛:人間の見えない本質を描写している。すなわち異質=異常ではない事の教えを訴えかける作品なのではないか。見た目の表面的なヤバさより過激な発言をしたり見た目だけで判断する思想の根幹をホラー映画好きの少年の視点から真っ直ぐな視線で浮き彫りにしている。いくつかあるホラー映画オマージュにもサプライズ感ありクスッとさせられます。

否:脚本が定番で普通すぎた。死者と交流できる不思議なチカラを持つ異質者とそれを冷たい目で物陰に隠れて見る周囲をアンチテーゼで結びながらもあるべき本質が描かれていくがライカ前作の『コロラインとボタンの魔女 3D(2010年)』みたいな機転を利かせる階層形式でもなく悪く云えば優等生感が逆にノイズに感じてしまった。描きたいテーマがストーリーが進むに連れて肥大化してる印象を受ける。

総じて集団心理の病理や自分たちが絶対に正常だと思い込んでる異常の定義を改めて考えさせる社会派の深い作品だった。もちろんストップモーションのひとコマひとコマ丹念に少しづつ動かして撮影する方法もライカ作品の前作より格段に良くなっている印象も受けました。主人公が覚醒せず最後まで普通を貫き通してた姿勢が思い返せば本作品の源だったのかもしれない。魔女やゾンビより本物の悪は誰か…定番だから安定性がある作品でした。
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