このレビューはネタバレを含みます
''至極不潔ながらも甘美で美しい舞台作品''
原作は1877年19世紀のロシア文学を代表するレフ・トルストイによって発表された作品。
劇場を軸として盤面転換を行なうので、この映画を見ている間私は、まるで客席から舞台の上のお芝居を鑑賞しているような感覚でした。
アンナとヴロンスキーが恋に落ちる舞踏会のシーンの演出は心を奪われます。2人以外の人間はストップモーションで時を止め、単スポで照らされた彼ら以外の人間を闇に消し、まるでその瞬間この世界には自分たちしかいないような .. そんな目に見えぬ''恋''を形として表現する演出にこちらも恋をしてしまいます。
子がいながらも不倫に走るアンナと、対照的に描かれたドーナル・グリーソン演じるコンスタンティンの人生。彼は一人の女性を思い続け幸せな家庭を築きました。私たちはそんな2人から、人生における本当に大切なものについて、目を向けるきっかけを受け取ることができました。
衣装はイギリス出身のデザイナー''ジャクリーヌ・デュラン(Jacqueline Durran)''によって手がけられているのですが、これがまたもう素晴らしく上品で美しいものばかりでとにかく目の保養でした。彼女の手がけた衣装を巡る映画ツアーを開催しようと思います。