メル

アンナ・カレーニナのメルのレビュー・感想・評価

アンナ・カレーニナ(2012年製作の映画)
3.0
文豪トルストイの名作。
19世紀後半に出版され、忽ち大人気に。
同時代のドストエフスキーも賞賛し、あのレーニンさえもお気に入りの本だったという。

2007年に現代英米作家125人が選んだ世界文学ベストテンの1位になったというから、出版されてから130年以上経った今でも色あせること無く読み継がれている事が分かる。

今回は舞台劇の演出を取り入れ、映像も新鮮味を出しているのは感じ取れるのだが、個人的にはそれには余り馴染めなかった。

場面が変わる時カメラが舞台裏の2階に上がって行ったり、競馬のシーンではあんなに狭い所で疾走感を出すのは先ず不可能だと思うし、見ている方は理解に苦しむ。

原作がこれだけ長きに渡り愛され続けているのは、単純な不倫ドラマでは無く登場人物の人間味や心理が丁寧に描かれているからであり、それを130分の映像にするのは確かに無理が有るのかも知れないが、残念ながら登場人物の心情が余り語られず薄っぺらに見えてしまった。

女として目覚めてしまった愛欲と、愛しい息子への母性との間で苦しむ姿があるからこそ「自由に生きる」事の意味を考えさせられるのであって、キーラ・ナイトレーのドレス姿は確かに美しかったが、自分勝手な我が儘女の要素ばかりが目立った感じで残念。
メル

メル