かろ

偽りなき者のかろのレビュー・感想・評価

偽りなき者(2012年製作の映画)
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恐ろしい作品だった。形を変えてあらゆる所にあるだろ、こういうの…。
クララに対して何も言うことはできないけど、周りの大人達が誘導尋問にも聞こえるような問い方をしていてゾッとした。
でも自分がルーカスとは関わりのない他人の立場だったらと思うと、手は出さなくとも街の人々と同じ気持ちになるだろうし、中立な目で見れるかと言われたら絶対にできないと思う。
こういう事が起きた時、取り分け冤罪だった時に、いかにその人の話に耳を傾けられるかどうかだよな。
それが真実だろうが嘘だろうが一度表に出たものは一生消えない。最後のシーンで特にそう思った。

教会のシーンは胸騒ぎが凄い。
あの瞬間、教会の中の一人になって、ルーカスが次にするだろう行動に、半分(最悪の事態にならないように)祈りながら、半分身構え怯えながら観ていた。
そしてなんと言っても表情が…。虚ろな目の中に怒り、哀しみ、苦しみ、憐れみ、もっと見えない感情さえ垣間見える、あの顔…凄すぎる。

マッツミケルセン、若い頃の作品を観たことがないのでなんとも言えないけど、その時の自分の年齢にあった等身大の役柄、人間臭い演技するのめちゃくちゃ上手い。泣いてるとこっちまで涙出てくる。
そういえばだけど一瞬映った若い頃の写真はリアルにそうなのかな?
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