幼稚園で子供たちのお世話の仕事をしてる中年男ルーカスが、幼児虐待の嫌疑をかけられ、ボロボロになっていくという怖い怖いお話。ルーカスに幼い恋心を抱き、それをちらっと行動にうつしてしまった園児のクララを、そういうのはダメだよーと優しくたしなめるルーカス。彼をほんの少し困らせてやろうと思ってついたクララの嘘が、どんどん大きな事件に発展してしまう。その嘘の内容とは…ルーカスのおちんちんがピンと立って上を向いてた、それを触らされた、という……おいおい、いくらなんでもそりゃやり過ぎ…けど、それがどういう意味か分からないまま言っちゃってる。それが怖い。そんなことやってない！とどれほど主張しても、だれも耳を傾けず、話が大きくなって警察沙汰になり、離婚後なかなか会えなくなってた息子とも連絡が取れなくなり、町中の人間に知られてひどい嫌がらせを受けるようになり…とどんどん最悪な状況に。見ててそれはどう考えてもおかしいやろ！思ったのは、大人たちがみんな、あまりにもすぐにクララの話を信じ込んでる点。西洋では、子どもはまったく罪のない純粋な存在だ、という深い信仰のようなものがある、という話を以前どこかで聞いたことがあったので、それのせいなのかなと思ったりもしたけど、私自身が純粋さなど全くないクソガキだったこともあり笑、基本、ガキだから嘘をつかない、という発想(非常に馬鹿げた発想だと思う)がないので、この映画に出てくる奴らみんなアホかと思った。ってか、人ひとりの人生を完全に狂わせるかもしれない状況なのに、何故もっとフェアに丁寧に調査しないのか。大人たちがあまりにも短絡的で、話としてあり得ないでしょーと感じてしまうレベル。ところが、本作、西洋の映画祭でかなりの高評価を得てる。てことは、みんな、本作に内在する危険性をリアルに感じるってことやんね。怖いわー。ほんで、町全体が、彼をとことんイジめ追い詰めていく様子が描かれる。いかに無関係な人たちが他人を簡単にジャッジすべきでないか。そのおそろしさとバカバカしさを、嫌になるほど伝えてくる。真実とは、ほんとは実に様々な側面があるため、ある側面だけを見て、人を裁くって、絶対やってはいけない。けどみんな結構やってしまうんだよね。当事者以外がギャーギャー騒ぎ立てても、百害あって一利なし。それは北欧に限らず、日本でも全然起こってる。起こりまくってる。まじ最低。大人がそういうことしてるから、ガキどもが真似して、イジメなどにつながっていく。とはいえ、それとは真反対に、やっぱちゃんとルーカスのことを信じてくれる人もいたりして、そういうのはすごくありがたいよね。最後らへんは、まぁ何とか解決していくんやけど、まったくもって、良かったですね、ってなられへん感じが苦々しく、何とも言えません。全体的に淡々とした展開の中、寒々しい厳しいテンションが貫かれてて、見ててイライラが止まらない。もちろんそれを狙った作品であるので、とても良くできてるのだと思う。もう一回見たいかと言われると、いえ、もういいです、と答えるでしょう。主演男優、演技は素晴らしいが、何か顔が好きになれませんでした、まぁそれはどうでもいい話やけど笑 あと、クララはボクには許せません。まじクソガキ。
