映画ネズミ

地獄でなぜ悪いの映画ネズミのレビュー・感想・評価

地獄でなぜ悪い(2013年製作の映画)
3.5
向いている人:
①グロ描写に耐性がある人
②ヤクザ映画が好きな人
③二階堂ふみが大好きな人

 どうも、映画ネズミです。今回は、久々に日本映画のレビューです。

 なんと、『蜜蜂と遠雷』以来4か月ぶりの(!)日本映画です。

 今回は、日本映画の中でも異彩を放つ園子温監督の『地獄でなぜ悪い』、アマゾンプライムで配信していたので、この度見てみました!
すごい映画でした……。

 ヤクザの組長・武藤は、獄中にいる妻・しずえの夢を叶えたかった。それは「娘のミツコを主演に映画を撮ること」。しかし、せっかく出した映画の撮影現場からミツコが逃亡。しずえの出所が間近に迫る中何とかミツコを連れ戻すが、一緒にいた男・公次が映画監督だと紹介される。だが映画の素人である公次は自分の命を守るため、たまたま出会った映画バカの平田に助けを求める。平田は、武藤の敵対組織まで巻き込み、映画の撮影を開始する……。

 園子温監督の映画は、『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』に次いで3作目の鑑賞でした。

 園子温監督は、「映画好きな中高生男子」の心のまま映画を撮り続けている監督だと思います。

 だからこそ、セリフは垢抜けないし、話運びは不器用だし、特殊効果はあえてチープなところもあるんですけど、半端じゃない情熱とテンションで最後まで見せ切る力があるし、性描写やバイオレンス描写も容赦ないです。

 さらに、後半、情熱とテンションが行き過ぎてメチャクチャになっていくところも、3作共通ですね。

 なので、恐ろしく好みが分かれる映画だと思います。①性描写やバイオレンス描写に耐性のない人は絶対無理ですし、②ハリウッド映画や日本のメジャー大作のような「スムースな話運び」に慣れている人は面食らうと思います。

 逆に、そういうものをこそ愛せる人にとっては、園子温監督の映画は忘れられない経験になるでしょう。

 私は、初めて見たのが『冷たい熱帯魚』で、それに衝撃を受けて『愛のむきだし』も見たけどそれっきり、というクチです。汗と泥にまみれた印象のこの監督の作風は、「好きな人はいるだろうな」と思いながらも、「毎年見るのは正直ちょっとキツイ」というスタンスです。

 でも、この映画は大好きです。私なりの『地獄でなぜ悪い』の魅力を3つ、ご紹介します。

 1つ目の魅力は、組長の娘役・二階堂ふみが破壊的にカワイイです。

 出てくる全ての場面でカワイイ仕草満載なので、ファンは必見ですし、ファンでなくても、一瞬で好きになること間違いなし!

 もちろん、終盤には刀を振りかざしてチャンバラも見せてくれます。

 ちなみに、彼女の役名は「ミツコ」です。『冷たい熱帯魚』でも、「ミツコ」という名前の女性が出てきましたが、園子温監督作ではお約束の役名なのかもしれませんね。「今回のミツコは……」みたいな。

 2つ目の魅力は、長谷川博己の、(特に後半見せる)ブチキレ演技がスゴイです。

 基本的に映画のことしか考えていない、「一世一代の映画を撮りたい。それが撮れれば死んでもいい!」とのたまう映画バカなんですけど、その情熱が行くところまで行った結果、もう目が、顔がイッちゃってます。

 笑っているんだろうけど、顔の形がちょっと怖い(笑)。『シン・ゴジラ』とはえらい違いです。

 終盤は、もはや顔芸の領域。

 3つ目の魅力は、終盤のカチコミ&映画撮影シーン。

 ヤクザ映画というより時代劇、最近の映画で言えば『キル・ビルVol.1』の青葉屋のシーンを思わせるチャンバラ&血しぶき満載のバイオレンスが展開されます。

 どんどん状況がエスカレートして制御不能になっていくところも含めて、(いい意味で)開いた口がふさがりません。

 血もたくさん出るし、手足も首もポンポン飛ぶので、バイオレンスに耐性がないとだいぶツラい2時間になると思います。

 ほかにも、「星野源の顔もすごかったぞ!主題歌もイイ!」とか、「あんな人がこんなところに!?」とか、「ジャパンアクションクラブ出身の堤真一VSアクション監督坂口拓の殺陣合戦!」とか、魅力はたくさんあります。

 ということで、なかなかおススメしづらいですが💦、冒頭の「向いている人」に当てはまる方にはピッタリの映画だと思いますので、ぜひ、アマゾンプライムで無料で見れる今のうちに見てみてください!
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