ターミガン

劇場版 花咲くいろは HOME SWEET HOMEのターミガンのレビュー・感想・評価

5.0
レビュー書き直し。
アニメ『花咲くいろは』が、自分にとってのアニメの概念を覆した超重要作品なので、改めてちゃんと書いておきたい。

結論から言えば、やっぱり良かった。
『花咲くいろは』のウリと言えば、アニメ放送当時に〈毎回最終回〉の異名をとっていた程の熱い脚本。
今作の劇場版でも終盤30分にしっかり山場を設けてある。
がしかし、基本はアニメ26話で描ききれなかったサイドストーリーという感じなので、本作単体での観賞だとハマれない人もいるかもしれない。

メインテーマは、祖母の営む喜翆荘で仲居として働く主人公・松前緒花の両親の出会いについて。
その旅館のオープニングスタッフであり、生き字引でもある営繕担当・電六の業務日誌から、緒花の母・皐月が学生時代だった頃を回想する、という導入。

自分の両親が今の自分と同じくらいの歳の頃は何を考えていて、どんな風に青春を送っていたのだろう、と考えるととてもノスタルジックであり、更にもしも自分と同じことを想っていたとしたらどれだけロマンチックだろう。
そんな、少々こそばゆい題材を恥ずかしげもなく全力で表現するのが『花咲くいろは』の良い所だ。

加えて本作ではキャラクター全員にそれぞれ見せ場がある。
約66分というコンパクトさも相まって物語全体としては少し薄味になる部分もあるが、当時の制作陣の各キャラクターへの愛着とファンサービスが伺える。

登場人物に誰一人として悪者はおらず、皆まっすぐでド直球。
作品の根幹となる〈私、輝きたいんです!〉というキャッチコピーが、綺麗事に聞こえたり、鬱陶しく感じる人がいることも否定しない。
それでもバトルもロボットも無い、軽音楽もやらない地方の日常を切り取ったアニメで、こんなにもピュアでこんなにもまっすぐな展開のアニメは他に知らない。
それに感銘を受けて、今でもずっと大切な作品の1つ。
これからも応援していこうと思う。