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天使の分け前のesのレビュー・感想・評価

天使の分け前(2012年製作の映画)
3.9
「天使の分け前」それは蒸発により一年毎に消えていく樽の中の約2%分。ウイスキー1樽に1億円以上の金額を払う人間からちょろまかした天使の分け前の話。
確かに犯罪行為ではあるけれど、貧困によるあらゆる要因で寿命が縮まっているような人々のすぐ側で、一生暮らせるくらいの金額を嗜好品に簡単に出せる人々がいるという現実を見ていると、見て見ぬ振りも立派な犯罪のように思えてくる。
グラスゴーは貧富の格差が激しい都市。2000年初期には高級住宅街と貧困地区の平均寿命が30年近く違うと言われた程。
貧困や犯罪から抜け出す為には、お金が必要だけれど学歴や犯罪歴により稼ぐ手立てはなく抜け出すことができない泥沼。

ケン・ローチーの作品は感動や痛快で終わらせてくれない。喉に魚の骨が刺さったような感覚が残る。それが堪らない。
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