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リンカーンのmiiのレビュー・感想・評価

リンカーン(2012年製作の映画)
3.8
この作品で描かれているリンカーンは
別け隔てなく人々の意見を聞いている姿が印象的でした。
戦争に従事している若者の意見
さらには ホワイトハウスにまで一般人が申し立てするのを彼は受け入れていました。

人々がリンカーンの名言を唱えられるほど慕われ
彼の意思は しっかりと民に伝わっているのが分かります。

南北戦争から4年経った1865年
奴隷制度廃止の憲法修正案可決に向けてのお話。

これは映画館で観たなら 誰が誰だか分からなかったかも。
人数が多すぎる。
「リンカーン家」「ホワイトハウス」「共和党」「民主党」「アメリカ合衆国」「南部連合」細かに分かれているWikipediaが役に立った。
これらの分断それぞれが 奴隷に対する見解が異なる。
これをロビイストの暗躍で 推進派に取り込もうとする。

トミー・リー・ジョーンズだけ異様なかつらを被っていて笑ったw
彼の役 タデウス・スティーブンス共和党議員の写真を調べたら
同じ髪型だった(笑)
彼は 修正案の目的は
法の元での平等だと主張します。
人は皆平等であると訴える前に
国をまとめ 法を決める者たちは 私利私欲の前に平等でなくてはならないと。

この時代には 黒人だけでなく女性も選挙権がなかったのですね。
彼らを見ていると 人々の平和のためにではなく
権力に固執した一部の人間だけの思想で国を動かそうとしていた事が分かります。

さらには 妻の精神が不安定でヒステリックなために
後に リンカーン研究家で作家のデール・カーネギーの著書によると
「彼が暗殺されたことは 彼の結婚にくらべれば悲劇というに足りない」
このような事まで書かれていた。
リンカーンは心が安まる時がなかったようです。

作中で「1年前より10歳は老けましたね」とまで言われたリンカーン。

あの世の中で 奴隷解放を推し続けるという事は
自分がいずれ殺される事も分かっていたのでは···とさえも思ってしまう。
自分の人生を犠牲にしてまで
それでも成し遂げた彼の功績は
「リンカーン記念館」の彼の像の大きささながら
歴史的にとても偉大なものであった事が分かるものでした。
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