生きている、しろくゆれる。
風にゆれる花びらのように、かすかに、目をこらさなければ見えないくらいにゆれている。目に見えているものがどれほどあるだろう。見えないものを見えないまま、ただそれらが在るということを知っている人はどれほどいるのだろう。わからないをどうしても超えられないのに、いつも知りたがりなのがわたしたちだ。
何を考えているのかわからない横顔。曇った窓ガラスに描いた模様がとけていくのを見つめていた目。空回りしてついた傷跡がなんか愛おしくなった寒い日。
風のかたちをしている木を、いつかのあなたの影に重ねて見つめていた。