アンソニー•ホプキンスのインスタをフォローしているのですが、最近、自宅のリビングかな?で"誰も見てないように踊る"として自由に何ともチャーミングで自然体なダンスを披露していて、それを見て幸せ気分でニマニマしてまして、今日はホプキンス様をチョイス。23本目の鑑賞、まだまだです。
ジャケ写がイマイチですが、『サスペンスの巨匠』と呼ばれたアルフレッド•ヒッチコックを特殊メイクを扮して挑んでいる。
サーシャ•カヴァシ監督は"本人のマネではないメイク"に拘ったらしいが、ホプキンスの青い瞳はコンタクトによって黒眼にしているものの眼差しは愛らしいホプキンス。頬から顎、太い首に繋がるラインはシリコン製で包み込まれていてシルエットはソックリです。なにせ巨体なのでお腹にどれだけ詰め込んでいたのでしょう。
しかし、外見はあくまで飾りであり、内面を強調して妻との関係性に主軸を置いた、2人の愛情物語として知ることが出来ました。
ヒッチコックファンはもちろん、そうでなくても魅入るドラマに仕上がっていました。
ヒッチコックは60歳時には46本の作品を制作していたが、ヒットしても批評家からの評判が今一つ。次作に思い付いたのが、ロバート•ブロックのスリラー小説『サイコ』だった。
「人を惹きつける吐きそうな話がいい」と製作側に伝えたため、パラマウント社もエージェントも難色を示し、豪邸を担保にして自費で制作する羽目になる。
『サイコ』の舞台裏を細かく描いているが、ヒッチは愛妻アルマ(ヘレン•ミレン)がいないと何も出来ない男。身体だけは大きくとも神経質で人付き合いも悪く、何から何までアルマに確認し、アルマが基準、アルマの意見こそが全てだった。
因みにアルマは同い年(誕生日は1日違い)で、若い時から共に仕事をしている助監督であり、脚本家、編集技師もする実力者。
アルマはキャスト選びもし、脚本にも案を出す。
「女優を始まって30分で殺すのよ!」と。
アルマは夫が全てではなく、自分自身も脚本の仕事を掛け持ちしていた。男性共同脚本家と不倫疑惑を勝手に抱いて悶々とするヒッチ。嫉妬や僻み根性もありそう。
とにかくヒッチは子供時代から悪戯癖があり、仕事をしても女優に対して陰湿なイジメとも言える嫌がらせ話は有名(書ききれないけど、私はヒッチコックは人間性が好きじゃないです)
有名なシャワーシーンでジャネット•リー(スカーレット•ヨハンソン)を指導する際に、包丁をスタントから取り上げて自ら滅多刺しする演技を見せてます。
『サイコ』における異常な残虐性はもしかしたら女優への積もり積もった鬱憤が込められていたのかも?それくらいに凄まじかった。
お気に入りのグレース•ケリーがモナコ王妃になり、オードリー•ヘプバーンから出演拒否され、ヴェラ•マイルズ(ジェシカ•ビール)にも未練タラタラに話してるシーンがあります。
なんとか仕上げてもアルマに「今回は酷い出来だよ、退屈な作品だ。盛り上がりに欠ける。サイコは駄作だ」と呟くんです。そうするとアルマがチャチャッと編集する。それで仕上がったのが世の中に出ていたわけです。
全くヒッチコック=アルマだったんですからビックリでした。
上映館が限られてしまったので、絶対に成功させる為の宣伝力には感心させられました。そこを観るだけでも楽しいです。
ヒッチの覗き見の癖はところどころに演出されています。
一番の見どころは夫婦喧嘩の皮肉たっぷりの言い合い。2人の演技をここぞと堪能できます。結局、アルマに言い込められて終わりシュンと反省するんですけどね。
結局のところ、2人は公私共に最高のパートナー。イギリス人らしくブラックユーモアを取り入れての会話は結婚生活を飽きさせずの秘訣でもあったのかな?
キャストは皆が適役で、ヒッチの秘書役のトニ•コレットもキリリとしてカッコよかった。
最高傑作が出来る流れ(音楽バーナード•ハーマン含め)を知れ、プライベートも良く理解出来たし、たっぷりと充実していて大変に好みでした。