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そして父になるのryodanのレビュー・感想・評価

そして父になる(2013年製作の映画)
4.7
2015-02-08

是枝祐和監督作。
彼の作品の中では、一番分かりやすかった作品でした。福山さんのいかにもな役が良かった。本人は気付いてないけど、人を平気で傷つける人間、人を平気で差別する人間。そんな人間が、自分と正反対の、取り違えられた息子の家庭と交流するうちに、自分を顧みるようになっていく。とは言うものの、終盤ですけどね。彼を取り巻く妻や向こうの夫婦は、悩みながらも必死で子供のためを想う。彼、父親だけが自分の殻に閉じこもって、孤立していく。是枝作品は、典型的映画的な手法を嫌うようで、今作も不自然さを感じない描き方でした。起承転結もあったようななかったような。子役の子、リリーさん、真木さん、尾野さん達の芝居、テーマの根底にある家族、全ての要素は、主人公の父親の変化に注ぎ込まれていました。そして彼等の決断が、落としどころでも、答でもなく、彼等の日常の延長に溶けていく。かなり真剣に見てしまいました。
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