ロビンソン

そして父になるのロビンソンのレビュー・感想・評価

そして父になる(2013年製作の映画)
4.1
対照的な野々宮家と斎木家。
一見すると、社会的ステータスの高い良多(福山)の方が町の電気屋のだらしないオヤジ、雄大(リリー)よりも優れて見える。
しかし、他人(特に子供)への接し方を見ると雄大の方が人間的魅力を持っているように感じられる。
物語が進むにつれて両者の立場の逆転現象が起こるのが面白い。

ただまあ、父親としてどちらの方が絶対的に優れているとか正しいとかではなく、それぞれの良さも悪さも愛情の形もあるのだ。
人間だもの。

子供の取り違えというとんでもない状況だけど、それに対しての葛藤はそこまで描かれず、淡々と時間が過ぎていく。
血を取るか、過ごした時間を取るか。
どの選択をすれば皆が幸せになるのか。
もどかしさを抱えながら観ていたが、最後は自分の中の凝り固まった考えが取り払われるような解放感を得て、2人の歩いていた道が繋がるシーンでは涙が止まらなかった。

観る側の想像を掻き立てる、絶妙な余韻の残るラストだった。

あと脇を固める役者が贅沢だった。