けー

キラー・スナイパーのけーのネタバレレビュー・内容・結末

キラー・スナイパー(2011年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

フライドチキン好きには絶対におススメしない。この映画をみたら、間違いなく当分食べたくなくなる。

始まりからして雲行きは怪しかった。

売り物のドラッグを盗まれ、売上金を上納できないクリスが今は別の男と暮らしている母親が妹に生命保険をかけているのを知り、父親、継母と共謀し、母親を殺して生命保険の配当金をいただこうと殺し屋を雇う。
殺し屋は現職の刑事で副業で殺し屋稼業を営んでおり前金払いでしか仕事を引き受けない。

前提からしておかしいので、なにもかもがおかしな方向へ転がっていく。
いたいけなクリスの妹以外はもれなくアカン過ぎる人々で、もしかしてこの人にもほんの少し人間らしいところが残っているのかもとうっかり期待しようものなら粉砕なんて言葉すらも可愛いらしく思えてくるほど裏切られる。
裏切られるというか、勝手に期待したこちらがバカなのだ。
彼らは最初から自分たちが外道であることを隠していない。外道として期待を裏切らない行動をする。それだけのことだ。

若気の至りでやらかしてしまった感満載の設定とストーリー展開なのだけど、監督と脚本家の年齢を見れば76歳と46歳のベテランだ。これには面食らう。面食うがそれでこの内容でありながら、妙に作品自体は整っていたのかと納得できないこともない。やらかしている割に破綻していないというか、あたかもモノゴトは普通に展開しているような感覚を覚えさせる。
うまく言えないが、明らかに常軌を脱したことがとてもドメスティックに展開していくとでも言えばいいのだろうか。それだけに最後の壊れっぷりを突きつけられた時のこちらの身の置き所の無さときたら、筆舌にし尽くした難い。

ある意味予想通りの落とし所なのだが、遠慮なく、ためらいも制限もなく手綱を切ったというか、少しは遠慮しろよと天を仰ぎたくなるような壊れぶりだ。
そもそもは脚本家が20代の頃に書いた戯曲の焼き直しというから、その頃ならこういうのがカッコいいと思ってやらかすよねという展開だったのもわからないではない。

あえてそれを持ってきたというなら、”見終わった後にとんでもない不快感を得られるように精密に作り上げた作品”としか言いようがない。

どの俳優さんも見事な力量でロクでもない人間を説得力を持って体当たりで演じ切っている。その潔さは脱帽もんだ。監督を信頼していなければみなあそこまでとても振り切れないだろうと思う。その手練れがベテラン監督ならではということなのか。

いや、もおね、俳優追いで見るときは気をつけなきゃね(記憶から消したい...)
けー

けー