このレビューはネタバレを含みます
序盤★4 中盤★3 終盤★2
“雨”がキーポイントになる色んな分野(音楽やドラマとか)の作品が好きなんで観初めはかなりツボにハマり期待もしましたが、
観ているうちに色々と疑問に思うコトが多く尻すぼみな印象。
健太郎と菜穂子のデートには彼女の母が車で送り迎えをしているとはいえ、
白杖は持たず、腕時計も普通のもの(音声仕様ではなく)っぽく、
側(はた)から見て菜穂子の視覚障害はほとんど分からず、
映画というフィクションの世界で表面的な設定で“視覚障害の体(てい)”をしているようにしか『見え』なかった。
確かに“障害のある女性”と世間から見られたくなかったり(見られる必要もないのかもですが)、
オシャレにも気を遣う菜穂子の“乙女心”なのかもしれないけど。
よしんば白杖を持たせないのであれば、
健太郎に「僕が菜穂子さんの白杖になるよ」ぐらいのセリフを言わせて欲しかった。
まあ後半ようやく白杖を持ってひとりで歩く菜穂子の描写はありましたけど、個人的にその描写は時すでに遅し。
森山良子さん演じる健太郎の母も最初と最後はええ味(特に格ゲー)出してましたが、
中盤で菜穂子に言った侮蔑のセリフは酷すぎて、
こういう場で出るコトバこそそのヒトの本性やと思う。
キャラ的に一貫していたのが大杉漣さん演じる菜穂子の父ですが、
この辺の今後も一切描かれていないのは消化不良で、
本作で一番の障害とは、内気な性格の健太郎でも、視覚障害の菜穂子でもなく、この親父の存在で、この親父という障害、障壁をふたりの愛で乗り越えて、打ち負かしてこその物語やと思いますけどね!
2017年223本目