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魔女と呼ばれた少女のクリームのレビュー・感想・評価

魔女と呼ばれた少女(2012年製作の映画)
3.7
コンゴ民主共和国では地下資源が武装勢力の資金源となって紛争が長期化し、現在も終わっていない。この映画は、フィクションだけど、背景はそのままなので、似たような話はあったかも知れない。
冒頭から凄くキツイ描写で始まり、結末もけして明るいものではありません。そんな辛い生活の中でも少しの幸せの時間があって、その幸せを胸に生きて行く少女の姿に人間の強さを見る事の出来る作品でした。
14歳の少女コモナは、突然、反政府軍に拉致されてしまう。兵士としてゲリラ戦に駆り出されるが、木の汁を飲み幻覚が見える様になる。幻覚による亡霊達が危険を教えてくれると周囲から魔女として崇拝される様になり、噂を聞き付けた反政府軍のリーダー、グレートタイガーの魔女になった。しかし、自分がいずれ殺害されることを悟ってしまった彼女は、恋仲になった少年と逃避行を繰り広げる事になるが、追ってがやって来てしまう。12歳で拉致された少女の3年余りの軌跡を綴る。




ネタバレ↓





亡霊の表現が、独特で見慣れないせいか不気味に感じました。そして、祈祷師や魔女を今もなお崇拝している文化も驚きでした。
コモナの経験は、凄まじく悲惨なもので、12歳で拉致され、両親を銃で殺害する様に命じられ、殺します。その後、過酷な兵士として過ごし、祈祷師のマジシャンと逃亡、13歳で結婚。この時は、2人で笑ったり楽しそうに生活していたのにグレートタイガーに見つかり、目の前で夫を殺されます。再び連れ去られ、望まぬ妊娠、出産。出産なんて14歳の少女が森の中で1人で産む。
グレートタイガーを殺して逃げるのですが、その方法が強烈だった。あれは、ちょっと無理じゃ?とも思ったが、一応記すと彼とのSEXの前にアボカドにナイフを細工したモノをあらかじめ自分の中に仕込み、大打撃を与えた所を殺害します。
色々、発想が強烈でしたが、あんな過酷な中でも強く生きて行くコモナに人間の強さ、逞しさを見ました。コンゴは、貧しい国で反政府軍から戻った元少年兵は、自宅に帰り。『食べる物もない貧困生活で、これなら反政府軍にいた方が良かった』と話していました。コンゴの背景が見える興味深く、悲しい映画でした。
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