グラビティボルト

チャイルドコール 呼声のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

チャイルドコール 呼声(2011年製作の映画)
3.7
夫の暴力から息子と逃れたノオミ・ラパスが、トランシーバーを購入して息子を守ろうとする。
ある夜に子供を虐待しているような声が聞こえて・・・というスリラー。

実際に虐待が近隣で発生していて、偶々それをトランシーバーが感知したのか?ノオミ・ラパスの精神不安による幻覚なのか?の狭間で観客をグラグラさせながら突き進んでいく。
特に息子から誘拐される赤いジャンパーを着た少年周りの描写、撮影の不穏さが見事。

あと、驚いたのは「森の向こうにある湖」周りの展開とその捉え方。
一度目、ノオミ・ラパスが湖を発見するシーケンス自体が「何となく気になった母娘を尾けた」というグレーゾーンギリギリの所だし、そこに再度足を踏み入れた時の異様な事態を端的な引き画で魅せる。

これ、最終的な事態の原因についてはしっかり語られるんだけど、この湖の件や、同じトランシーバーを持っていた電気屋の客の件には一切言語的な説明をしないのが凄いと思う。
全てに合理的な説明が付かないからこそ、独りの女性の精神的な荒涼が印象として強く残る。