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ベルトルッチの分身のakrutmのレビュー・感想・評価

ベルトルッチの分身(1968年製作の映画)
3.5
ピエール・クレマンティの奇妙な一人芝居が光る、ベルナルド・ベルトルッチ監督の初期作品。大学講師のジャコブが教授の娘クララの誕生日パーティーを追い出されてしまったときに自分の分身が現れ、それ以降分身とともに日常を過ごすようになるというのが一応のストーリーだが、本作品にストーリー性を求めるのは適切な見方とは言えない。

それよりも「若気の至り」と日本の評論家に言われてしまうほどの、ある意味でかなり実験的な映像における、それぞれのショットやシーンそのものの映像美や、そこに映る人たちの奇妙な振る舞いをそのまま楽しむのが良いであろう。または『昼顔』でも気色悪い青年役で出ていたピエール・クレマンティのキモい演技を楽しむつもりで見るのが正しい見方かもしれない。個人的には、色彩の鮮やかさや街並みにを楽しむことができた。特に、ジャコブの着ている緑がよい。洗剤の訪問販売の女性とジャコブが洗濯機の泡まみれになるシーンも個人的には印象に残った。
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