M少佐

凶悪のM少佐のレビュー・感想・評価

凶悪(2013年製作の映画)
4.0
 「なんかさぁ~憎めないんだよね」

死刑囚のヤクザ。
死ぬ前に自分を裏切った奴に復讐するために過去の三つの悪事を雑誌記者に送る。
その事件の恐ろしさを公表し、ヤクザを嵌めた犯人に裁きを与えるため、証拠探しに奔走する記者。
果たして計画を指示した男「先生」に記者はたどり着けるのか?

実話ベースのフィクション。
事実は映画より奇なり。
「先生」以外、出てくる人間達全て可哀想になってくる。
全て彼の手のひらで踊らされているように見えた。
ヤクザはどうしょうもない殺人鬼の短絡的な人間。
人殺しは平気でも、小狡い人間にあっさり騙される小者。
その舎弟も口先だけのボンクラ達。
順調な時は「先生」もアメばかり与えて、全くムチは見せない。
しかし切り捨てる時の無情さは悪そのもの。
主役の記者も自己中過ぎる半端者。
口から出る美辞麗句は外に向けられた通念的な社会正義を振りかざしているだけであり、家庭家族は二の次三の次。
そうなると見ている側は誰にも感情移入なんて出来ないし、ただただ胸くそ悪い時系列を最後まで見せられる。

ここまで書いて、何が魅力的な作品なのかと疑問に思う。

楽しいよりは面白かった。
面白かった。
M少佐

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