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桃太郎 海の神兵のkazu1961のレビュー・感想・評価

桃太郎 海の神兵(1945年製作の映画)
3.6
🔸Film Diary————————————————-
▪️本年鑑賞数 :2021-550 再鑑賞
▪️#死ぬまでに観たい映画1001本 ※※※/1001

🖋1945年、昭和20年終戦4ヶ月前に公開された作品です。もうすでに日本が劣勢になっていた頃に公開された日本海軍省より依頼されて製作された国策映画です。アニメでの戦意高揚、日本海軍の素晴らしさなどが描かれていますが、もはや実態とは全く違っていたんですね。。。内容はスマトラのパレンバンを奇襲攻撃した海軍パラシュート部隊の勝利の宣伝が目的で、 桃太郎とその率いる動物たちを日本軍に、鬼ヶ島の鬼たちを敵国軍に見立てて描いています。。。明るく元気なアニメを観ながら情報操作の怖さを感じます。

🖋一方で日本初の長編アニメ映画として日本映画史にとっては貴重な作品でもあります。前半の田舎の牧歌的な風景や動物たち、合唱シーンやミュージカルっぽいシーンなどアニメならではの表現が盛り込まれています。監督の瀬尾光世が、ディズニーの『ファンタジア』を参考として、たとえ戦意高揚が目的であっても子供たちに夢や希望を与える作品にしようとしたようです。当時の子供たちにとってはワクワクさせられたんでしょうね。

🖋アニメの技法も、落下傘部隊のシーンなどは体験入隊を行うなどして実際の動きを細かく分析、マルチプレーン撮影台や透過光などの特殊効果も用いた大掛かりな制作だったようです。なのでこのシーンの動きは美しいです(参考:Wikipedia)。
ほんとヌルヌル動く映像はこの時代を感じさせません。16歳の手塚治虫が焼け跡の映画館で本作を見てそのクオリティーに感激し、アニメ作りを志すきっかけとなったという逸話を残す作品なんですね。

🖋でもやっぱりアニメ×国策映画は勘弁。。。現地民に見立てた動物たちに『あいうえお』日本語を教える歌のシーンや桃太郎のセリフなど、当時の植民地政策の生臭さが滲み出てて鳥肌。。。しかしGHQの管理をすり抜けてよくネガが残っていたものです。。。

🙂物語は。。。(参考:Wikipediaより)
富士山のふもとにある動物たちが住む村に、海軍に出征していた猿、犬、雉、熊[5]が休暇で帰ってくる。思いおもいに休暇を楽しむ彼らのうち、猿は弟を含む近所の子供たちから海軍の仕事について聞かれると航空兵であると語るがそれは嘘で、実際は猿と犬、熊は極秘で編成された海軍陸戦隊落下傘部隊であった。やがて休暇が終わり、彼らは海軍設営隊と現地民が協力して建設した飛行場に赴き、現地民に日本語を教える傍ら桃太郎隊長と共に訓練に明け暮れる。やがて、かつて平和な島だったが鬼のだまし討ちにより征服された『鬼ヶ島』への空挺作戦が発動される。

🔸Database————————————————-
🎥邦題 :『桃太郎 海の神兵』
原題(英題):※※※
🎥製作国 :日本
🎥初公開 :1945
日本公開 :1945/04/12
🎥上映時間 :74分
🎥受賞 :※※※
🎥監督(製作):瀬尾光世
脚本 :瀬尾光世
原作 :※※※
撮影 :瀬尾光世
音楽 :古関裕而・大東亜交響楽団
出演(声優):

🔸Overview (映画. comより)———————
1945年、第2次世界大戦末期に海軍省の依頼で製作された日本初の長編アニメーション。桃太郎を筆頭にサル、イヌ、キジ、クマらで構成された落下傘部隊が、南方の鬼ヶ島へ向かうといった内容で、国策映画として製作されたが、5万枚のセル画を使用したというキャラクターの動き、ミュージカルアニメさながらの音楽効果などのクオリティの高さで、日本アニメーションの原点とも評価されている。脚本・演出を担当した瀬尾光世監督は「くもとちゅうりっぷ」を手がけ、「日本アニメーションの父」といわれた政岡憲三に師事し、政岡は本作で影絵のパートで参加。35ミリのマスターポジとインターネガを4Kでスキャンし、2Kで修復作業をおこなったデジタル修復版が2016年の第69回カンヌ国際映画祭クラシック部門で初上映され、日本でも劇場公開される。
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