emily

マーガレットのemilyのレビュー・感想・評価

マーガレット(2011年製作の映画)
4.2
勝気な女子高生マーガレットがある日、気にいる帽子を被ってるバス運転手の気をそらした事で、交通事故をひきおこし、女性が亡くなってしまう。しかし信号は青信号で運転手に過失はなかったと証言してしまい、罪悪感に苛まれ、証言を翻し、運転手を追い込んで行く。

スローモーションを多用し街の風景を何度も描写する。変わらない風景、夜の街を上から捉え、続いて行く日々の中で、バス事故により見える景色は同じでも確実に昨日までの彼女とは違う。母親の舞台の仕事とマーガレットの学校での様子を交差させ、それでも続いて行く日々の中で少しずつ変化して行く心情を丁寧に描写している。

罪悪感から証言を変え、矛先を運転手に向け責任を取らせようとするが、それはあくまで正義感でも何でもなく、自分の"罪"から逃れるための正義である。常に上から人を見下し、自分が正しいと信じてやまないマーガレット。彼女の心情が非常に丁寧に描かれており、16歳ならではの過信は周りを傷つけ自分を傷つけていることに全く気がついていない。曲げられた正義感を演じお金持ちのユダヤ人という固定概念が彼女を作り上げ、同時に壊して行く。

根付いた差別心は敗北した時にはじめて解き放たれるのだ。誰もが自身の人生の主人公であるが、その物語は脇役なしには絶対に成り立たない事を日々の中で忘れてしまう。脇役がいるから主役が生きてくるのだ。だからこそ常に謙虚な気持ちを持ち、周りに生かされていることを常に念頭に置かなくてはならない。