のら

攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Painののらのレビュー・感想・評価

2.0
攻殻機動隊の前日譚を描く4部作の序章だが、ビジュアル的なルックもストーリーもいまいちで、これなら作る必要があったのか疑問を感じる。

例えば今作の草薙素子は攻殻機動隊の前日譚という事もあって、若干童顔に作られているのだが、ご存知の通り彼女は全身を義体化されている、つまり肉体的成長がないので外観はずっと若いないし同じはずだ。それで前日譚として1作目の草薙素子になっていく過程を本作で描くのであれば、義体の違いに対するエクスキューズは必要になる。しかし本作ではそこに対する回答は無い。

またストーリー上の問題として、後の公安9課の仲間たちに出会う場面のイベント性が皆無な点が上げられる。攻殻機動隊シリーズのキャラクターの魅力というのは、本来一匹狼的な各分野のプロたちがチームを組んで敵に立ち向かう部分にある。しかし本作にはそう言った要素もなく、顔見せ的な部分で終わってしまう。

アクションシーンにしても全体的に寄りの画が多すぎるので、義体同士の超人間的なアクションといった感じも無いので物足りない。攻殻機動隊シリーズから完全に独立した話としては、悪くは無いのかもしれない。しかし攻殻機動隊の前日譚としてみると物足りない。ツボを外し続けるマッサージのような作品になっている。
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