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嘆きのピエタのmimocyanのレビュー・感想・評価

嘆きのピエタ(2012年製作の映画)
3.9
人間にとってもっとも効率の良いエネルギーは愛だ。って言ったひとがいたけれど、それがもし復讐に形を変えたとしても、それは変わらないのだろうか。

映像特典でのキム・ギドクのインタビューによると、凶暴で残忍な人間性をも貫いてしまうような、ある苦痛を与えるにはどうしたらいいのかってことを頭において作ったとのこと。救いがあるんだか無いんだか。ガンドにとってこれは罰だったのか赦しだったのか…。どろどろした下地の中に金がキーワードとしてちらつくのがおもしろい。

埃を被った旧来の重々しい重機やらパイプやらが鉄臭く並ぶ映像は、どこか大友克洋の絵っぽくもあって、心くすぐられるものあり。

目には目を歯には歯をっていう、血の滴る倍返しの世界は韓国映画お得意のもので、みればみるほどその手があったか!と唸る反面、ひとつのメソッドとしてこともなく循環してしまってる感もある。あるけれど、その血の赤さを見るたびにやはり心は震えるのです。
手に収まらない、愛憎の行方を見るたびに。
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