洋梨

嘆きのピエタの洋梨のレビュー・感想・評価

嘆きのピエタ(2012年製作の映画)
3.7
キム・ギドクは好きな監督。しかし本作はチョッと厳しい。ギドク映画だからハッピーエンドはあり得ないのは承知のうえだが、あまりに救いが無さ過ぎる。
最も深い絶望とは、諦めきっていた処にもたらされる一筋の光明を生きる支えに立ち上がったものの、それが幻と知る2度目の絶望なのだろう。本作はこれを逆手に取った復讐の話。
キリスト教徒ならこの映画に「救い」を見出すのかも知れないと観終わってパンフを読みながら考えた。2度目の絶望の末、回収屋が贖罪のために取った行動は磔にされるイエスのよう。復讐する偽母が回収屋に哀れみを感じてしまう処はキリスト教では何に譬えられるのだろう。
微細に写りすぎるデジタル撮影のためか、映像に語らせるいつものギドク節が何処か薄味。それでもラストシーンはかなり衝撃的。できればフィルムで撮って欲しかった。
観終わったら無性に鰻が喰いたくなった(実際喰った)。鶏(特にタッカンマリ)は暫く喰えないけれど。
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