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ビフォア・ミッドナイトのhonestakiのレビュー・感想・評価

ビフォア・ミッドナイト(2013年製作の映画)
4.8
心に触れる良質な恋愛映画を観たくなる時がある。

『ビフォア・サンセット』から続く二人の18年後。
主人公は41歳。ちょうど同世代。
アメリカの前妻の元に置いてきた息子を気にかけるジェシーと、生まれた子どものために自分のキャリアを後回しにしたセリーヌ。
結婚はせず、パートナーとしての関係を続ける二人。

相変わらず会話は機知に富み、二人の相性の良さを感じる。
辛辣なジョークも信頼と相性の良さがあるからこそ。

しかしまぁ、セックスが始まろうとする甘い時間から突如大喧嘩が始まるのもとてもリアルで、主人公二人と同じように疲労感いっぱい。
自立した関係とはこうも好戦的なのか。
私の口からは発する事は無いであろうセリーヌの言葉に傷ついてしまう。
それでも歩み寄るジェシーの忍耐強さというか、想いの強さというか、ある意味冷静というか、優しさに感動を覚える。
世の男性は皆こうであってほしい。笑

子どもの成長は早く、腕の中に抱く事がないまま息子は恋をする年齢になった。
父親としての焦りがセリーヌに伝わらないもどかしさが切ない。
セリーヌはセリーヌで守りたい時間と、ジェシーの息子と対等な関係でいようとする逞しさも感じる。
時間の経過と共に直面する悩みがある。
その時間の流れの中で私が追いつかなかった経験もあるけれど、心に触れる作品であることは間違いない。
私はこの二人を10年ちょっとをかけて見てきた。
「二人が出会った時のときめきをそのまま持っていたいから、一度しか見ない」と言っている人がいたので、私も同じように一度ずつ鑑賞。

「パリの電車で出会ったのが今の私でもあなたは声をかけてくれる?」なんて台詞、この二人は死ぬまでこの愛の言葉を交わすのだろう。

きっとこの次の作品は二人に孫が出来る頃。
初老の性愛について真正面から描くに違いない。
主人公と同世代になる頃、また鑑賞しようと思う。
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