riverisland

真夏の方程式のriverislandのレビュー・感想・評価

真夏の方程式(2013年製作の映画)
3.6
 公開当初から観よう観ようと思っていた作品。封切られてから何ともう8年も経つ…!吉高由里子の少し濃いアイメイクを見て、「ちょっと前の映画なんだな」としみじみとしてしまった…。

 観るのがとても遅くなってしまったが、寧ろとても良いタイミングだったと思う。大学生の頃に劇場で『祈りの幕が下りる時』を観て、そこから引き込まれるようにして『砂の器』にたどり着き、東野圭吾が清張作品(私は実は『砂の器』以外はほとんど知らないので、それに限ったことかもしれない)に対して並ならぬリスペストがあることを知った。

 今年もちょうど少し前に、どうせなら2作連続で観ようと思って『祈りの〜』『砂の器』を連日鑑賞した。そういう状況で観たから、物語の構図がピッタリと上記2作にハマるなあということに非常に感動したというか、作品を超えて東野圭吾の創作の軸にある何かを捉えられた気がしてとても楽しかった。日の目を見ることのない親子愛、誰かの人生を崩しうる秘密で繋がれた連帯、そして事件のキーマンとなる老爺。
 ミステリーにも色々な種類がある。江戸川乱歩は背徳的でとても'からくり'的。横溝正史、こちらも背徳的だがまったくもってからくり要素はない。人間同士のつながりの何処までも悍ましい部分をキーにしたドロドロ人間ドラマ的側面が強い。そういうことでいえば、東野圭吾は横溝を陽にした感じなんじゃないかなあと思ったり。彼の作品は、たとえどんなに背徳的であろうが(『白夜行』とか)、その根本にゾッとするほど美しい人間同士のつながりがある気がする。
riverisland

riverisland