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パシフィック・リムのMOCOのレビュー・感想・評価

パシフィック・リム(2013年製作の映画)
3.5
「兄貴が死んだとき接続していた、俺は二度と誰かを頭の中にいれたくない」
「聞いていないのか?世界の滅亡が迫っている。どこで死にたい?ここか?イェーガーの中か?」

 ギレルモ・デル・トロ監督が「この映画をレイ・ハリーハウゼンと本多猪四郎に捧ぐ」とエンドクレジットに表示するように、巨大生物は恐竜ではなく"KAIJU" と表現され、日本の怪獣やロボットの映画へのオマージュが伝わって来る映画です。

 そんな訳で、香港のビル街のKAIJU vs 巨大ロボット「イェーガー」の闘いはゴジラvsメカゴジラを思い出してしまったのですが、そんな生易しいものでも、そんな漫画チックなものでもありません。やはりギレルモ・デル・トロ監督の映像技術のレベルは高く、素晴らしい迫力です。

 しかし『ギレルモ・デル・トロ監督の映画は、大抵ストーリーのどこかに受け入れ難いものがある』と「シェイプ・オブ・ウォーター」のレビューで書いたようにこの映画にも受け入れ難いものがあります。
 「イェーガー」の操縦方法がそれです。パイロットとイェーガーは「ドリフト」というシステムで結ばれ、乗り込んだパイロットの動きそのままトレースされイェーガーの動きとなります。開発当初はパイロット1名だけで操縦を行ったのですが、脳神経への負荷が大きすぎたため、パイロット2名の意識を同調させそれぞれ右脳と左脳と役割を分担するという「ブレイン・ハンドシェイク」というシステムが追加導入されています。今回はこのシステムです。

 2013年から2025年の世界を描いているのですが何故「ドリフト」何故「ブレイン・ハンドシェイク」という展開です。
 横山光輝氏が巨大ロボットの漫画「鉄人28号」を発表したのが1956年、55年以上前の発想がすでにリモートコントロールなのです。小さなボックスから飛び出た二本のスティックで鉄人は自在にコントロールできるのです。これはこれで疑問なのですが、何故かこの映画はパイロットとロボットの動きがシンクロするのです。ロボットを走らせるには、ルームランナーよろしくロボットの中で走り続けることになるのです。そんなアホな・・・という設定なのです。
 高速で動き回る"KAIJU" に対応するにはこの「ドリフト」はよく考えられていると思うのですが、パイロットの思考で直接イェーガーが動けばよいことで、走る場面でパイロットが走るなんてそんなアホな・・・と思う訳です。体力勝負の最新技術なんて変ですよ。体がボロボロになって両手が使えなくなっても頭がやられてなければイメージ通りに闘えるようにするのが科学の力なのでは・・・。
 

 恋愛を持ち込むなら菊地凛子さんはミスキャスト。もっと恋愛の似合う女優さんにすべきだったのでは?と思うのですが・・・。
 さらに芦田愛菜ちゃんが大人になると菊地凛子さんもミスキャスト無理がありすぎです。

 販売と同時に購入したのですが、何度も寝落ちして最近やっと通して観ることができました、CGの優れた大人のKAIJU vs 巨大ロボット映画です。
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