垂直落下式サミング

パシフィック・リムの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

パシフィック・リム(2013年製作の映画)
4.5
テーマソングは公開年の鼻歌グランプリ。この頃はランニングしてたんだよなー。今はもう長距離走の呼吸なんてやり方がわからない。歌いながら走るのってどうやってたんだろ。もう身体が思い出せない。この前なんて寝返りうって気持ち悪くなった。ゆっくりと、着実に老いていく自分。そろそろ生き物としてピークを過ぎたような感じ。嫌だなあ。
さてと、なんとか起き上がったところで、最近は新作公開でギレルモ・デル・トロに凝ってる僕である。彼がどんな作家だったのか確かめるためにも、もういっぺん過去作のアーカイブを見直してみた。
海からの怪獣襲来によって、人類が壁を築いて巨大ロボットで対抗するまでの歴史、この世界観の基本設定をざっとダイジェストで説明するオープニング、もう好き。時系列がポンポンポン次へ次へ進んでいくのが快感。
怪獣たちはどんどん上陸してくるから、人の住める土地はなくなっていくし、ロボットが開発されるまでのあいだ、いろんな人が実験台になって、その過程で科学者もパイロットもめちゃめちゃ死んでいそうだしで、終末的な匂いが漂ってくる素敵な開幕。それを10分程度でさっさと終わらせて、イェーガーの活躍もそこそこに、世界中が危機に貧した最終局面に陥っていくのがいい感じに滅びの美学だ。
ロボットのデザインそのものはそこまでかわいいと思わないんだけど、コックピットのなかはめちゃくちゃかわいい。巨大な空間に二人のパイロットがいて、その足元をガッチャンガッチャン油圧シリンダーみたいなのが動いて、サーボモーターみたいなのが回ってたりとか。
けっこう最近の映画なのに、ハッキリと原子核融合炉を描写してんのが偉かった!アメリカやロシアの旧型機は胸の原子力リアクターの動力を使用しているけど、オーストラリアとか中国の新型のやつはより安全な電力に頼ってるらしい。
これがなんか妙なリアリティがあるし、新型が敵にメタられて裏目に出てしまったことで、まだ動ける旧型の出番になるてのも胸アツポイント。
人間の形をしたものにはあんまり興味がないんだけど、強いて言うなら一番ゴツくて兵器チックな見た目のロシア機がかっこいい。この時節柄どうかと思われるかもしれないけど、「チェルノ・アルファ」って名前なのも倫理観ヤバくて好き。必殺技は「テスラ・フィスト」だって。頭悪そう。
何よりよかったのは、多人種多国籍な対怪獣地球防衛軍チーム。みんなでひとつの目的のために頑張ってる。それだけで嬉しくなってしまう。なまっちょろい理想主義者なんですよ、僕は。