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くちづけのrissaのレビュー・感想・評価

くちづけ(2013年製作の映画)
4.9
お涙頂戴な映画は好きじゃない。それなのに、大好きになってしまった作品。

知的障害を抱える大人たちが集団生活を送るひまわり荘の人たち、その保護者たちの、愛情があるからこそ知的障害者を抱えるからこその葛藤に胸が切なくなった。
どんなことだって愛があれば乗り越えられる、それが現実じゃない時もあるのが事実。障害者当人にとって唯一の救いの手である肉親を失ったとき、居場所が無くなることとなったとき、彼らの行く末はどうなるの?
主人公の父親が病気にさえならなければ、まだ2人は一緒に生きていられたかもしれない。あんなに悲しい人生の最期を迎えなくて良かったはず。けれど、人間は誰でも死ぬ。そして親を喪い、残された子は独立を余儀なくされる。

ひまわり荘に暮らす大人たちのコドモな言動は、笑えて泣けて微笑ましくて、なにより素直で、マジョリティよりもよっぽど本来の人間らしい姿にみえた。そしてその保護者たちの強い愛情にも心打たれる。
知的障害だからといって、もちろん、命の価値って一緒なんだよね
けど…社会的弱者でないとは言い切れない。孤立無援の社会のいま、独りになり、誰にも気付かれず、自分から救いの手を求められなくなった知的障害者は、どうやって生きてゆくの?

父親の最期の決断を観て泣いたときは「他にもっと救い様はなかったの?」そう思った。だけどそのとき救いの手を差し伸べるられるのは、他人であるわたしたちしかいない。
笑って泣けて心が和む。だけど綺麗事なんかじゃ終わらない現実を突きつけられる作品でもあった。