来夢

共喰いの来夢のレビュー・感想・評価

共喰い(2013年製作の映画)
3.9
光石研演じる父親がマジで胸糞でいただけなさすぎるけれど、テンポよく発せられるバリバリの方言の話し方が小気味良すぎてなんかずっと聴いていたくなる矛盾。あれだけ性行のときに女性を殴っておきながら、普段はそんなに暴力的ではないし、子供を殴ったこともないっていうのも、彼の人間性への考察の種になって面白い。原作は芥川賞受賞作の田中慎弥の小説。原作の雰囲気を再現しながらも、青山真治監督らしい内面的な過激さと解放を求める表現でしっかり色付けされているので、原作と違うラストも受け入れやすいね。あんな美人の彼女に対してもうちょっと綺麗な子にしたらと言い放つ母ちゃん厳しすぎだろとは思ったけれど、田中裕子演じる母もまた物凄い貫禄で、ベテラン勢の凄さを改めて感じられました。青山監督の映画って役者の演技だけでも観ていられる凄みがあるのが多いよなぁ。「Helpless」や「ユリイカ」はじめ、日本映画の名作を生み出してくれた偉大な監督だけに、訃報が残念でならないです。宮崎あおいの存在を教えてくれてありがとうございました。
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