Jin

インポッシブルのJinのレビュー・感想・評価

インポッシブル(2012年製作の映画)
3.9
”今はない星とまだある星の区別がつくの?”
”それは不可能よ。”



スマトラ沖地震の津波に巻き込まれたスペイン人家族の実話。
超リアルな津波の描写。

東日本大震災から7年がたった今、直接的な被害を受けなかった東京の我々が見るべき映画。被災した人は一生見れないだろうと思う。それくらいにリアル。


なにもかもが一瞬のうちに飲み込まれ、濁流の中で瓦礫に文字通り「身を削られ」、どうにかして水面に顔を出した時には、家族が散り散り。ホラー映画より怖い現実世界の話。
自分の家族が見つからずとも、絶望の中で助け合う人々に感動する。これが実話なのかと思うほどの奇跡。

グロテスクな傷口や怪我のシーンはあるものの、実際の現場はもっと「死」で溢れているのだろう。想像もつかない。
公開当時は、映画のためにピックアップされた「運のいい話」だと批判も相次いだらしい。
ただ、語らないよりはいい。何も知らないよりはいい。と思った。

一番辛いのは、家族の死を知るよりも、居場所も生死も「わからない」ということだ。死んでいるのか生きているのか、知ることが「インポッシブル」な状態の恐ろしさを描いている。



映像のスケールがとにかくすごい。思わず目を背けたくなるくらいの自然の脅威が映し出されていた。そして、音楽や最後のシーンのホラーな演出が非常に怖い。

そして、ナオミ・ワッツの迫真の演技にはとても感動した。幼きトム・ホランドもユアン・マクレガーももちろん上手い。


日本人だからこそ感じる恐怖と、日本人だからこそみなければいけない理由があると感じた。
この映画と「ヒアアフター」は本当に怖い。しばらく海に行けなくなるレベル。
Jin

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