災害体験映画。
体験するのは津波そのものよりも、家族を失う恐怖や、避難所での絶望的な状況、そして人々の優しさと希望。
阪神淡路大震災の体験や東日本大震災の時に長いことボランティアで関わったりした身からすると、伝え聞いていたことや目の当たりにしたものをリアルに思い出させる作りになっている。とてもリサーチしたのだと分かる。
津波のシーンの迫力とケガや病院の生々しさのお陰で御都合主義な部分が目立たなくなっている。またイイ人ばかり出てきて災害につきものの泥棒の姿が見られないのもいい。
どこの国でも、天災にあった時に助け合うことや、大事な人を思う気持ちの大切さを痛切なほど描いている。最後に示されるメモの使い方には唸らされた。
甘さもあるが絵空事に見えないのは本当にいた家族の話だからだというだけでなく、世界の誰もが共感できる感情を丹念に表現しているから。津波が終わっても常にハラハラし続ける。
災害大国日本において、この作品を見ることは辛い気持ちになるが、全ての災害や戦争で味わう気持ちが確かにここに描かれている。
防災など意味をなさない程の大きな災害だが、それでも観る価値があると確信する。
本当に真に迫った映画だ。