Inagaquilala

インポッシブルのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

インポッシブル(2012年製作の映画)
3.9
「ジュラシック・ワールド 炎の王国」の監督に大抜擢されたスペインの映画監督J・A・バヨナが、2012年にスペインとアメリカの合作としてメガホンをとった作品。2004年のスマトラ島沖地震を題材に、プーケットの海岸に押し寄せた大津波で、離れ離れになった家族の行方を描いていく。大津波のシーンは、迫力満点で、このあたりも「ジュラシック」シリーズの最新作に起用された要因かもしれないが、それ以上に、この監督にはヒューマンで社会的な視点があり、この作品でも家族が再会を果たすまでの物語のなかに、その確かな視点がきっちり織り込まれている。「ジュラシック・ワールド 炎の王国」が、前作に比べて、格段に観応えがあったのも、このJ・A・バヨナ監督の力量によるものかもしれない。

バカンスにやってきてこの災害に遭遇する一家の母親役を演じたナオミ・ワッツは、この作品でアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたのだが、泥まみれになりながら熱演していただけに、納得がいく。一種のディザスター作品なのだが、それだけに終わらないJ・A・バヨナ監督の、中身のある演出が光っていた。ハリウッドの大作もこなしたこの監督が、これからどんな作品を撮っていくのか、目が離せない。
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