スプラッターという言葉を広く世界で認知させた名作ホラー映画「死霊のはらわた」のリメイク。
オリジナル版の監督サム・ライミ(いまやスパイダーマンの監督といったほうが通りやすい)や主演俳優だったブルース・キャンベルが製作へまわり、まったく新しいスタッフとキャストで作り出されました。
山小屋に集まった男女が、よせばいいのに怪しい本を見つけて呪文を唱えてしまったために死霊が復活、次々ととりつかれて怪物化してしまうといった基本骨子はそのままに、様々な新要素を取り入れています。
中学生の頃、究極のホラー映画として話題となっていたオリジナル版が近くで上映されると知って、喜び勇んで観に駆けつけたのが昨日のことのようです。苦笑
まだレーティングが無かった牧歌的な頃で本当に良かったというか、現在だったら高校を卒業する頃にでもならないと観ることが叶わなかったかもしれません(レンタルは既に存在しましたが)。
前列に座っていたおばちゃんが、おえってなりながら席をたって二度と戻らなかったのを鮮烈に覚えています。なんでまたおばちゃんが「死霊のはらわた」を観に来ていたのか謎と言えば謎ですが・・・
個人的にはオリジナル至上主義ではないので、比較してどうこうというより、単体の作品としてどうかというと、「うん、良く出来ていて楽しいホラー映画だな」という感じですね。
確かに改変された部分が多いのでオリジナルをリスペクトしすぎてしまうと評価がガタっと落ちそうですが、その改変が別に改悪になっているとは思えませんでした。
特に、麻薬を断つために山小屋に篭るという設定は巧いなと感心しました。これなら、死霊に憑かれて多少おかしくなっても周りの人間は「麻薬の禁断症状だろう」と思うだけで、事態が深刻になってしまう原因を違和感なく演出できるというわけです。
反対に残念だったのは、死霊という正体不明の存在を、ラスボスを出現させることによって可視化してしまったことです。
いや、それ自体は別に良いのですが、もっとビジュアル的に「すごいラスボス」をみせてほしかった。
ほとんど貞子の様で(苦笑)ちょっと普通すぎたなあと思うのと、とにかく弱い印象があるのも残念なところ。なにせ死霊のくせに物理的な攻撃が有効なためにポテンシャルの弱さを感じさせてしまうのです。
ただ、(物理攻撃が効くからこそ)ラストのチェーンソーの使い方が大変素晴らしく、まさしく正しいチェーンソーの使い方が観ることが出来て満足至極です。
しかし、腕はもげるは、足は切れるは、画面が真っ赤になるほど血の雨が降るは、痛いショックシーンの連続。
怖がらせ方も分かりやすく、ちゃんと怖がらせてくれます。
つじつまの合わないようなツッコミどころも多々ありますが、そんな問題点を凌駕するハイテンションが後半になるにつれ持続されて、ホラー映画好きなら楽しめる良作だと思います。
ブルーレイということで画質・音質共に極めて良好。
パッケージも豪華で、本編とリンクした赤を基調としたデザインも秀逸。
スリーブケースからデジパックを取り出すと、いきなり死霊がこちらを睨みつけるビジュアルが炸裂するという「憑依仕様」ケースも最高で、パッケージサイズがDVDトールサイズということだけを除けば良質なパッケージングだと言えます。(ブックレット類もあれば尚良かったのですが)
近年のリメイクホラーの中でも完成度が高く、続編製作も決定ということで、それも期待できますね。
この際、オリジナル版のことは置いておいて楽しんだもの勝ちの☆四つです。