真っ黒こげ太郎

死霊のはらわたの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

死霊のはらわた(2013年製作の映画)
4.5
あのスプラッター映画の代名詞となった映画が…。

激痛・ガチンコ・ホラーとなって帰ってきた!!!


「…イカすぜ!」
…イカすのは貴方です。w



麻薬中毒女子のミアの薬物依存症を克服するために、山小屋を訪れた5人の男女。

皆が必死にミアを看病してると、突如として地下室への扉が開く。
地下室には動物の死体と何かが焼けた後、そして怪しすぎる本があった。

男の1人がその本をコッソリ解読して呪文的な何かを唱えると、ミアが突如として何かに恐怖してこの家を出たがり始める。
家から脱走して必死に逃げようとするも、結局取っ捕まり謎の触手プレイを受ける!!
(オリジナル版にもあった要素だから疚しい事は何もないよ。w)

皆でミアを保護するが、彼女の様子がおかしい。
更には、ミアが突如凶暴化し襲いかかってきた!!!
実は地下に置いてあった本は死者の書で、色んな意味でヤバすぎる死霊が復活したのだ!!!



山小屋にやって来た若者達が、恐ろしい死霊に取り付かれ、阿鼻叫喚の地獄絵図となる、スプラッター・ホラー。
「スプラッター映画」という言葉と発祥にもなった、サム・ライミさんの代表作「死霊のはらわた」をリメイクした作品。


…でも今作は評価が賛否両論で不安だったし、2作目が実質リメイクみたいな感じだったのでわざわざリメイクする必要ないのでは…と思ってたが、リメイク版も何だかんだで気になったので思い立って鑑賞。


…確かに賛否両論になるのは分かる。

でも、俺はこれ楽しめたぞ!!!おもろかった!!!


お話は「山小屋に来た連中が死霊蘇らせて血みどろなエライ目に遭う」というのはオリジナル版と同じ。
だが、今回はオリジナル版とは違い、実に痛々しく、物凄く重みのあるマジホラーとして一新されてる。

まず本作はお話の設定も色々と変更されている。
今作の若者グループは遊びに来たワケじゃなく、「麻薬中毒の仲間を立ち直らせる」という確固たる目的をもって山小屋に来ている。
だから麻薬中毒なヒロインの「逃げよう!」という提案を聞かず、麻薬の禁断症状だという事で山小屋に皆で残る事になる展開は中々納得の行く展開になってる。

そんな重い&真面目な動機の為、全編ダークで不穏な気配がプンプン。
真面目でダークな内容になった分、不気味でダークな雰囲気はホラー感をシッカリ感じられる良い改変点だと思う。


また、死霊絡みのスプラッター描写もコメディ成分を抜いて大マジメで観てるこっちが痛々しくなる激痛&癪な残酷描写に様変わり。
旧作のやりすぎ感は無くなったが、その代わりリアルでもありそうな痛ーいスプラッター描写にシフトチェンジ。

頭潰しや噛みちぎりとかはまだマシな方で、顔面にぶっ刺さる注射針とか、あちこちにぶっ刺さる釘とか、刃物を舐めまわして舌が切れるといった、メチャクチャ陰険で痛々しいシーンが満載!!
映し方もねちっこくじっくり描くため、今作でもオリジナルでも描かれていた腕切断シーンが展開されるのだが、今作ではめっちゃ痛そう!!!

殆どが刃物の切り傷や尖った物での刺し傷等、リアルに痛みを感じれるような残酷描写なので、観てるこちらも痛々しさを感じる、凄まじいゴア描写になっていた。


無論、アレンジされた内容ばかりではなく、キチンとオリジナル版を踏まえたネタもしっかり用意されていて、悪趣味な触手プレイや死霊に憑かれた人が一瞬元に戻って惑わす等のオリジナル版でも観られたブラックなネタが満載。
死霊の設定や、倒し方などの大事な場面はオリジナル版同様だし、真っ当なはずの主人公的ポジションの男が、段々と正気を失いヘタレてゆくのもオリジナル版を彷彿して良い。
(でも吹き替えの人はスティーブ・ロジャース。w
でも優柔不断でヘタレでビビりまくるロジャースボイスはMCUファンは必聴です。w)
他にもオリジナルっぽいシーンが幾つかあったりと、過去作へのオマージュを忘れない姿勢は好感が持てます。
エンドロールの最後では最高のサプライズゲストが出るぞ!!!

しかし、元ネタでは死んでたポジションのキャラが助かってしまい、最後の最後でヌルい内容になってしまうかと思いきや、そこから本作オリジナルの展開を見せる!!
ネタバレ回避のために一応伏せるが、まさか”新しい主人公”があの人に移るとは思わんかった。w

そしてクライマックスでは凄まじい血濡れの大バトルが展開!!!
「死霊のはらわた2」オマージュ展開はちょっとやりすぎな気もしたが、あそこの場面は逆転の爽快感を存分に味わえてスカッとしまた。


そんなこんなで個人的には「怖い!不気味!痛い!」と三拍子揃った、実に良く出来た作品だと思うのですが、今作はオリジナル版にあった独特のブラックジョークや悪ノリが無くなってしまったのは賛否別れそう。
クライマックスの「死霊のはらわた2」オマージュ展開も「結局ネタ展開に走るのかよ!」と中途半端な思いをする人もいるかも。
後、これは個人的な意見なんですが、今作を吹き替えで観たら死霊の声が何か勇敢になってて、オリジナル版の吹き替えみたいな厭らしさが消えていた…と思うのは俺だけでしょうか。w


まぁオリジナル版は唯一無二の作品だし、評価が分かれるのはしょうがないかもしれない。
でもこれはこれで結構イケると思う。オリジナルを尊重しつつ、上手くホラー要素やスプラッター要素をアレンジした、新しい「死霊のはらわた」の形だと思う。

取り敢えず、良く出来た映画には違いないし、ゴア・スプラッターが好きな人なら十分楽しめるとは思うので、気になる人は是非どうぞ。

なお、今作はかなりグロ度数が激しいが、これでもアンレイテッド版より5分削られてるらしい。何が映ってるんだろうか。