ShojiIkura

少年HのShojiIkuraのレビュー・感想・評価

少年H(2012年製作の映画)
3.4
 神戸という街が、大戦前ギリギリまで欧米人がいて、欧米の文化を受け入れて生活している人がいたというのは、言われれば神戸ならそうだろうと思うが、この映画を見るまでは思ってもみなかった。イニシャルであるアルファベットのHで呼ばれる少年がその象徴となっていた。その特殊な環境が、激しい愛国教育に扇動されていた他の地域と少し違ったし、少年の父のように世の中を俯瞰し、全てを理解した上で現状にあがなわない生き方を選んだ者もいたのだろう。こういう生き方もありだと思うし、その結果戦後も家族が一人も欠けることなく、再生へと向かえたのだ。
 そのために戦時中は大変な忍耐を強いられた。耐えたからこそ、である。揺るがぬ信念と家族を守ることを両立するために冷静に選んだ道なのだと思った。
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