エンポリオ

L.A.ギャングストーリーのエンポリオのネタバレレビュー・内容・結末

L.A.ギャングストーリー(2012年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

血と銃弾が止んだその先の世界には。
実話に基づいた物語。ロサンゼルスを牛耳る大ギャングコーエンとジョン率いるギャング警官集団の抗争を描いた作品。
どの程度の脚色が施されているのか把握していないが、物語そのものに関しては見応え十分で、先々の展開が容易に読めるがしかし楽しめる作品であった。
それでもこれが実話に基づく映画作品である以上、この作品が実際の争いに対して取ったスタンスに対しては厳しい目を向けざるを得なかった。
ギャング警官集団をまとめるジョンは兵士としての戦争経験があり、力を力でねじ伏せる方法以外に目もくれない。一般的な正義の側として描かれるギャング警察集団の中にも自分たちのやり方に疑念を抱いたり、他の立ち向かい方を模索しようとするキーラーという存在がいるが、彼を失って以降彼が保っていた平和的な立ち位置は誰にも引き継がれることなく反対に、彼の死が力へのエネルギーとして活用されていく。実際に起こった一連の事件が40~50年代の出来事らしいので、この事件そのものに対しては、現代の視点ではどうにも批評し得ない所があるが、それを現代に映そうとするこの作品があぶり出すのがひたすらな力と力のぶつかり合いの面であったということに驚きとショックを隠せなかった。
何より、この作品自体の立ち位置に関わらず、エンディングの場面で成功したギャング警察だけにスポットが当てられ、受け継がれた銃以外に、亡くなった二人の仲間に対しての描写が無かった点に関しては、最後の最後で印象が悪くなってしまう要因となった。
ショーンペンの演技と存在感が物語そのものにも大きな意味を成していた。
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