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グランド・マスターのmitakosamaのレビュー・感想・評価

グランド・マスター(2013年製作の映画)
3.3
珍しいウォンカーウェイによるカンフー映画。アクションを含め監督らしいスタイリッシュな仕上がりになって、これはこれでとても新選だった。

トニーレオンがイップマン。
功夫の功績の多いゴン家のパオセンにより、南北流派の統一を目標にした試合が行われイップマンが選ばれる。
詠春拳のイップマンは形意拳・洪家拳・楊式太極拳と試合し勝利。
パオセンの八卦掌をも破り認められるも、娘ルオメイ(チャンツィイー)が対立。
イップマンはルオメイと戦い二人は友情で結ばれる。

映像センスだけで格闘シーンを見せているが、これが案外面白い。踏み込んだり強く打ち込んだりする際などの印象的な場面でスローモーションを多用し、カット割りを多くする。
戦っているというより舞っているかのような優雅さで達人感を演出している。
また各拳法の戦い方を描き分けているのも面白い。

イップマンとルオメイは中学生みたいに文通を始める。
パオセンは後継者となるマーサン(カミソリ)を破門したことで殺されてしまい、娘のルオメイは執拗に復讐を挑む。
日中戦争によりマーサンは日本軍の支援を受けており優位な立場だが、それでもルオメイはマーサンと戦い深手を負いながらも勝利。

ココが意外だ。本来なら物語の構造上は《マーサンがルオメイを倒し→イップマンがマーサンを倒し仇を討つ》というのが映画の常套句な筈だ。
でもマーサンとルオメイの戦いにイップマンは一切関わらないので、後半はイップマンが完全に蚊帳の外だ。

結局イップマンと結ばれなかったルオメイの悲しみという形で物語がビターに終わる。後半がチャンツィイーの物語になってしまった。コレはやっぱりちょっと変な構成だと思う。
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