たらこパスタ

まぼろしの市街戦のたらこパスタのレビュー・感想・評価

まぼろしの市街戦(1967年製作の映画)
4.5
忘れられないラストシーンがまた一つ増えた...!!!
どのシーンもインパクト抜群だし、セリフも印象的なものばかり。

今まで閉じ込められていた人たちが華やかな衣装を着て誰もいない街でやりたい放題やる様子に解放感も感じたし、それと同時にそれが束の間の疑似体験であるという意識も働き、非現実感のあるこの一日に浮遊感を感じました。

精神病院に隔絶されていた人たちは、そうじゃない人から異常だと言われていたけど、どこか達観したセリフを言うし束の間の夢のような疑似体験の下それぞれがキャラクターを演じていることに自覚的なようにみえた。

そしてその集団が広場での戦争を冷ややかな目で観るシーンでは完全に彼ら側の視点で撃ち合いの愚かさと滑稽さを観ていました。そのほかにも、かなりおどけたやりとりで描かれる軍内の作戦実行や伝達シーンなどでも滑稽な感じでした。

後半はいつのまにか閉じ込められていた人サイドに肩入れして、軍サイドを対立するものとして感じてしまったけど、終わりまでみると閉じ込められていた人サイドからも放り出されてなんだか居場所がない気持ちになった!二項対立で全てを語り切れることなんてほとんど無さそうなので、そういうどっちが普通でどっちがおかしいみたいな思考の危うさも身をもって感じた

シャットアウトされて,ローカルルールによって支配された小規模なコミュニティで、疑似的なユートピアもどきを本物と区別せずにずっと楽しく生活すること。たしかに楽しいかもしれないけどなんだか虚しくも思えてしまった。そもそも↑の本物とは...?という点もよくわからなくなってしまったし観た後しばらく色々なことを考える作品でした
たらこパスタ

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