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ただいま、ジャクリーンのminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

ただいま、ジャクリーン(2013年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

バス事故で両親を亡くした少年は、養護施設に預けられることに。事故のショックをなかなか忘れられない彼だったが、事故現場にお参りに行った時に見つけた人形ジャクリーンとの腹話術を通して少しずつ笑顔を取り戻していく。十数年後、一人暮らしを始めた主人公のもとを施設で共に育った少女が訪ねてくる。彼女は主人公に養護施設のイベントで腹話術を披露するよう依頼する。かつてお世話になった施設長の体調が思わしくないこともあり、渋々主人公はイベント参加を承諾するのだが…という話。

映画美学校で映画製作を学んだ脚本家のシナリオをもとにした短編作品。染谷将太主演。監督は「勝手にふるえてろ」などの大九明子監督。

40分と短い上映時間内に苦しみや葛藤そして人の温かさが含まれていて、とても優しい気分になれるお話。ジャクリーンという人形が語る設定で、大人しくて無口な主人公の現状や心情を人形視点で説明するところがユニークだった。約10年ぶりに腹話術に取り組む主人公の練習シーンが楽しい。
腹話術の第一人者であるいっこく堂が人形の本来の持ち主である腹話術師として出演している。その腹話術師が、人形を引き取りに施設を訪れるのだが、そのことを知って悲しそうになる子どもの顔を見て、人形を譲りわたす心温まるエピソードが良かった。終盤、過去のトラウマに苦しみながらもイベントで腹話術を成功させる主人公は本当に立派に見えた。
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