ミドリ

最高の人生のはじめ方のミドリのネタバレレビュー・内容・結末

最高の人生のはじめ方(2012年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

良い映画だった。

『ヴィンセントが教えてくれたこと』の上品なバージョンみたいな感じ。
作中流れるベートーベンの悲愴 第二楽章のように静かで、交流から生まれる愛情にじんわりと心があたたまっていく作品。
好み以外に、子供と大人でも評価が分かれるかもしれない。

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モンテは車椅子に乗った有名な小説家。創作意欲を失い、酒浸りの生活をしていた。
彼を元気付けたい甥が手配し連れてきた、有名なドラマーが所有している家。
その家は湖があるベルアイルという街に建っていて、賑わう夏の間無料で借りられることになった。
隣の家には女性と娘3人が住んでいた。

借りた家にはリンゴという犬がいて、その犬の世話をする事が条件だった。
リンゴという名前の由来を聞き、気に入らなかったモンテは、彼にスポットという新しい名前をつけた。

甥はまた小説を書いて欲しいと思っていた。だが酒しか楽しみが無いモンテは家に入るなり叫び声を上げる。
それを聞いていた隣の家の二女・フィンが、荷物を運んでいた甥に何に怒っているのかと聞くと「人生に」と答えた。モンテは人生に嫌気が差していた。

完全に変人だと思ったフィンは、妹のフローラに彼がねずみやミミズを食べたりする恐ろしい男だという作り話をする。姉のウィローは止めるよう言い母にも訴えたが、母はフィンの想像力を認めていた。

数日後、近所のアル・カイザーがドンという男性が亡くなったので追悼会に来て欲しいと、モンテの家を訪ねてきた。知らないからと断るのだが話を聞かず、料理を持ち寄るので何か一つ持ってきてくれと、時間を告げて行ってしまった。

チーズスナックを持ち仕方なく参加したモンテ。ビールを飲んでいると、母に言われたフィンがサラダを持って入ってきた。
アルにモンテが小説家である事を聞いたフィンは、想像する事が好きな為物語の創作に興味を持ち、次々と質問をする。

ドンへの弔辞を読まされたモンテ。書いたのはアルで、代読させられた。
その弔辞で新しい言葉を知ったフィンは、言葉を教えて欲しいとモンテの家を訪ねた。

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あらすじ書くのが下手だから、興味を持った人に観て貰えるような上手い説明が出来なくてもどかしい…。

孤独を感じている老人と子供の交流、愛情、人生や自分を見つめ直す、みたいなのはありがちだとは思うけど、台詞が面白いというのかな、冗談だったり皮肉だったり笑える台詞ややりとりが端々にあって、観ていて退屈しなかった。

犬の使い方…という言い方は好きじゃないけど、スポットもただ動物出しとけばいいんじゃない?みたいな感じではなく、モンテと確立した関係になっていて、もしスポットの存在が無ければ物足りなかったんじゃないかとすら思える。

書き出しに子供と大人では評価が分かれるかもって書いたけど、その理由としては先日観たベン・スティラーの『LIFE!』が一歩を踏み出す勇気を与えてくれる作品だったのに対して、こちらはモンテのように挫折や諦め等を味わった事がある人にあたたかい気持ちを与えてくれる作品だと感じたから。
だから、『大人と子供』という括りで分けるのは適当ではないかも。

『1つのドアが閉まれば1つのドアが開く』という言葉は、頭ではわかるし良い言葉だとは思うんだけど、あまり共感は出来なくて、モンテが言った「私は全てのドアを閉ざした。そのドアを(フィンが)ノックした。」という様な台詞は全てを拒絶していたモンテにとってフィンが射し込んできた光だったんだと理解できて、娘がいたら~というやり取りにも目頭が熱くなった。

終始穏やかで、多少の"転"はあるけど事態が急変するような大きな山場は無いし、最後も予想通りのハッピーエンド。
ご都合主義とかトントン拍子と思う人もいるかもしれないけど、心が折れた人間にはこういうあたたかさが嬉しかった。

叩かれたドアを開ける勇気は自分で出すしかないけど、現実はそのドアを叩いて貰えるかすら分からないから『人類が持つ最大の力である想像力』を活かして上手くいく事を想像しながら頑張っていかなきゃだな…って。

どうしたんだw

タイトルは、『○○な人生の○○方』みたいなのが多すぎて最早迷子。

2017年:97本目
ミドリ

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