sexmachine

終戦のエンペラーのsexmachineのレビュー・感想・評価

終戦のエンペラー(2012年製作の映画)
4.2
物事は勝者の都合で進み、歴史は書き換えられる。占領下には、社会主義というイデオロギーに対する防壁や、アメリカの国防やらという都合があって、その下で様々な権益は解体され検閲も敷かれた。天皇の存命も、場当たり的に最善の策として許された側面も相当に大きい。

この映画に関しても、サイドストーリーや演出が陳腐すぎるきらいがあるように思われる。それでも、天皇やGHQが持っていた未来への責任感や善意を感じ取るには十分だった。

昭和天皇の戦時下における立ち振る舞いが明かされない(1000年かけて調べても無駄)というのは、残念に思う。 

武士道とか「日本的」な精神というのは、圧倒的な西洋的価値観を前にアイデンティティクライシスを起こした日本が拵えたファッションに過ぎないのかもしれない。でも、だとしたら我々は何を拠り所に生き延びればいいのだろうとも思ってしまう。新渡戸稲造に問い直してみようと思う。