福福吉吉

終戦のエンペラーの福福吉吉のレビュー・感想・評価

終戦のエンペラー(2012年製作の映画)
3.0
◆あらすじ◆
1945年8月30日にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)のマッカーサー元帥が第二次世界大戦の降伏国の日本の事後処理のために訪れる。マッカーサーは戦犯の確定のために知日家のフェラーズ准将に天皇を戦犯とすべきか調査させる。天皇の処刑は日本の崩壊を招くと考えたフェラーズは天皇を救うべく証拠を集めようとするが...。

◆感想◆
第二次世界大戦の天皇の責任について調べたアメリカ兵の姿を描いた作品となっており、異国の人々にとって日本人の精神の特殊性が理解しがたいものになっていて、それを懸命に理解しようとする主人公の姿が印象的でした。

GHQ司令官のダグラス・マッカーサー(トミー・リー・ジョーンズ)が日本に降り立ったところからスタートする本作は、マッカーサーの日本の戦後処理を成功させたいという目的から天皇の責任についてハッキリさせようと、日本に詳しいフェラーズ准将(マシュー・フォックス)に10日間という短い期間で結果を出すように命じます。マッカーサーが天皇の処刑を避けようとしていることが分かるのですが、そこには私的な理由があるように感じられました。

本作はフェラーズが関係者たちに会って天皇の責任について証拠を集めるストーリーと並行してフェラーズが恋人だった日本人女性アヤ(初音映莉子)を捜索するストーリーが描かれます。証拠集めにおいて日本人の精神性の特殊さが描かれる一方、アヤの捜索ではフェラーズとアヤの恋愛の顛末を描いていて、スケールの大きな話と小さな話で緩急をつけていて、証拠集めの話が一向に進まない部分で飽きが来ないようにアヤの話がうまく挟まっていたと思います。

本作はかなり日本びいきに描かれていて、天皇陛下がマッカーサーと対談して責任について話した話は知っていましたが、あまり日本の醜い部分は出ていなかったように思います。この点、日本人の私には観やすかったですが、他国の人はどのように観るのか気になりました。

思ったほど深い事情が描かれず、フェラーズ准将の仕事と恋愛のストーリーを描いただけに終わった気がして、私はあまりハマらなかったです。決して悪い作品では無いのですが、もっと昭和天皇について深い描写や責任逃れする日本の政府関係者など憎まれ役の存在があるともっと良かったように思います。無茶ぶりかな?

鑑賞日:2025年9月8日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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